一般社団法人の事業目的で注意すべき点は?

一般社団法人は事業目的を問わず設立することができるのでしょうか。実は事業目的に特別な制限は設けられておらず、法律や公序良俗に反しない限り自由であるとされているのです。ここでは、法に基づく「一般社団法人の事業目的」について説明していきます

 

一般社団法人は非営利であることが条件

一般社団法人は非営利であることが求められますので、事業活動を進めるうえで得た収益を社員に分配できないことになっています。

 

社会貢献的な事業やボランティアなどを非営利とよぶのではなく、得た収益を分配できるかどうかが重要なのです。したがって、事業遂行に不可欠な資金を確保するための収益活動は認められていますし、必ずしも公益性がある活動しか行ってはいけない、ということもありません

 

一般社団法人に求められる事業目的とは

一般社団法人として活動していくためには、以下の事柄について注意する必要があります。

 

事業内容が適法であるかどうか

一般社団法人が行う事業は公序良俗に反してはいけませんので、事業内容が適法であるかどうかは非常に大切なポイントになってきます。適法かつ公序良俗に反しなければ、事業内容を自由に選び遂行することが可能です。

 

定款に記載される事業内容が客観的に明確かどうか

事業内容について、定款には客観的かつ明確に記載されている必要があります。また、一般社団法人を設立した後、公益社団法人の認定を受けるためには、法に定められた公益目的事業に該当しなければいけませんので、関連法を参照しながら事業目的を慎重に決定することが大切です。

 

公益目的事業とは

公益財団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の第2条に、公益目的事業に関する規定が定められています。

 

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 公益社団法人 第四条の認定を受けた一般社団法人をいう。

二 公益財団法人 第四条の認定を受けた一般財団法人をいう。

三 公益法人 公益社団法人又は公益財団法人をいう。

四 公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。

※e-Govより抜粋

 

23の公益目的事業

同法第2条に記載されている「公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業」とは、以下を指しています。

 

別表(第二条関係)

一 学術及び科学技術の振興を目的とする事業

二 文化及び芸術の振興を目的とする事業

三 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業

四 高齢者の福祉の増進を目的とする事業

五 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業

六 公衆衛生の向上を目的とする事業

七 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業

八 勤労者の福祉の向上を目的とする事業

九 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵かん養することを目的とする事業

十 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業

十一 事故又は災害の防止を目的とする事業

十二 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業

十三 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業

十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業

十五 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業

十六 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業

十七 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業

十八 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業

十九 地域社会の健全な発展を目的とする事業

二十 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業

二十一 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業

二十二 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業

二十三 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの

※e-Govより抜粋

 

 

まとめ

将来的に認定を受けることを見据えた場合、設立時点から社団法人としての事業内容を慎重に決めていくことが求められます。また、以下に該当するものは一般社団法人の事業目的として許容されていませんので注意しましょう。

  • 営利目的である
  • 違法な目的である
  • 定款に記載された事業目的が不明確である

 

一般社団法人の設立を検討しているのであれば、関連法についてもきちんと理解しておく必要があります。このため、法律の専門家から助言を受けながら法人の設立の道のりを描いておくことをおすすめします。当事務所でも初回無料相談をご利用いただけますので、まずは一度お気軽にお問い合わせください。

 

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