農業法人とは何か?わかりやすく説明

これまで個人で農業を営んできて、今後は規模・売上ともに拡大を目指している場合、農業法人になるのも1つの方法になってくるでしょう。ここでは、農業法人とは何かについて説明していきます

 

農業法人の種類は主に2つ

個人で農業を営んでいる場合は個人事業主になりますが、法人になると農業法人という形態に変わります。農業法人には会社法人農事組合法人の2種類があるので、それぞれの定義や特徴についてみていきましょう。

 

会社法人

根拠法は会社法であり、以下4つのうちいずれかの形態を選択して法人成りします。

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合資会社
  • 合名会社

令和3年11月に公益社団法人日本農業法人協会が公開した農業法人白書によれば、特例有限会社を含む株式会社が全体に占める割合は84.9%であり、2,068の会員のうち株式会社の形態をとる法人が圧倒的に多いことを示しています。

 

農事組合法人

農事組合法人は株式会社とは異なり営利を目的とせず、同じ農家同士が助け合う協同組合としての性質を持ち合わせています

 

農事組合法人1号法人2号法人に大別することができ、それぞれ以下のような特徴を備えているので違いを理解しておきましょう。

 

1号法人

【特徴】農業機械や設備の購入、農作業をいずれも共同で行う場合に活用される法人形態

【農業経営の可否】不可

農業経営ができないため農業生産法人になることもできない

 

2号法人

【特徴】農業経営および関連事業を行う場合に活用される法人形態

【農業経営の可否】

農業関連事業に限り認められる法人形態で、農地所有適格法人(旧農業生産法人)になることができる

※例)農畜産物を原材料とする商品の製造・加工・販売、農作業受諾、林業など

 

農地所有適格法人とは

農業法人がその事業のために農地を所有しようとする場合、農地法に定められた要件を満たさなければなりません。要件を満たした法人は農地所有適格法人として農地所有が認められます。農地法では、農地を次のように定義しています。

 

(定義)

第二条 この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。

※e-Govより抜粋

 

農地所有適格法人になるための要件

農地所有適格法人になるための以下要件を満たした状態で、必要書類を揃えて農業委員会に申請を行い、許可がおりると法人として農地を所有できるようになります。要件を確認していきましょう。

 

【基本的な要件】

  • 効率的な農地利用計画があること
  • 農地取得後の農地面積合計が北海道の場合は2ha以上であること
  • 周辺農地に影響を与えないこと(水利調整への協力、農薬散布に関する配慮など)

 

【農地所有適格法人としての要件】

【法人形態】株式会社または農事組合法人、持分会社であること

【事業内容】売上高の過半数を占める事業が農業であること(農業関連事業を含む)

【議決権】総議決権の過半数を農業関係者が占めること

【役員】役員の過半数が常時農業従事者であること、役員または重要な使用人の1人以上が農作業に従事すること

※農林水産省資料参照

 

まとめ

農業は個人が行っているものというイメージが強いですが、実はより効率的に売上増加を目指すことができる農業法人という形態もあるのです。法人化することにより、不足しがちといわれている人材の確保がスムーズになったり金融機関からの融資を受けやすくなったりと、メリットが大きいのも特徴の1つだといえるでしょう。

 

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