旅行会社を設立するにあたり、「旅行」の種類を理解しておく必要があります。ここでは、さまざまある旅行形態の中でも代表的な、募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行について説明していきます。
募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の概要
募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行はそれぞれどのような形態の旅行商品なのでしょうか。ここでは、各旅行について概要をまとめていきます。
募集型企画旅行
募集型企画旅行とは、旅行会社が目的地・日程・移動方法・宿泊先などの旅行サービス内容を決めた旅行商品のことをいいます。あらかじめ作成されたこれら旅行商品は、紙媒体やインターネット媒体を通して周知され、旅行客を獲得していくのです。いわゆるパックツアーなどとよばれる旅行商品は募集型企画旅行に当たります。
旅行会社の責任として、旅行者に対し以下の義務を負いますので理解しておきましょう。
受注型企画旅行
受注型企画旅行とは、旅行者の依頼を受け、旅行会社が旅の目的地や日程、旅行内容などを決めてひとつの旅行商品を作り実施するものです。いいわゆるオーダーメイドに該当するため、旅行会社は旅行者に対して企画料金を請求することができます。旅行会社の責任範囲は募集型企画旅行と同様です。
手配旅行
旅行者の依頼に基づいて航空券を取得したりホテルや電車・バスなど移動手段を手配したりするものを手配旅行といいます。旅行者に代わって必要な手続きの一部を担うため、代行業にも該当します。
募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の違いを比較
それぞれの旅行形態について、もう少し詳細に整理し比較してみます。
募集型企画旅行の特徴
- 旅行計画作成者:旅行会社
- 旅行者:旅行商品への参加を希望する不特定の旅行者
- 旅行会社への支払い内容:旅行代金に加え燃油サーチャージなどの別途費用
- 契約成立タイミング:旅行会社と旅行者が契約に同意し申込金の授受が行われたとき
- キャンセル料:国内旅行は20日前から、海外旅行は30日前からを原則とする
- 特別補償:旅行中の事故に対する補償を行う
- 旅程保証:契約に基づく旅行実施について保証を行う
- 旅程管理・安全確保:スムーズな旅行実施のために添乗員を同行させることが多い
受注型企画旅行の特徴
- 旅行計画作成者:主に旅行会社
- 旅行者:旅行商品への参加を希望する特定の旅行者
- 旅行会社への支払い内容:企画料金を含む旅行代金に加え燃油サーチャージなどの別途費用
- 契約成立タイミング:旅行会社と旅行者が契約に同意し申込金の授受が行われたとき
- キャンセル料:契約成立後から適用
- 特別補償:旅行中の事故に対する補償を行う
- 旅程保証:契約に基づく旅行実施について保証を行う
- 旅程管理・安全確保:スムーズな旅行実施のために緊急連絡先を明らかにする
手配旅行の特徴
- 旅行計画作成者:旅行者
- 旅行者:旅行商品への参加を希望する不特定の旅行者
- 旅行会社への支払い内容:手配業務の実費に加え手数料
- 契約成立タイミング:旅行会社と旅行者が契約に同意し申込金の授受が行われたとき
- キャンセル料:契約成立後から適用
- 特別補償:なし
- 旅程保証:なし
- 旅程管理・安全確保:なし
このように、同じ旅行商品でも「旅行者が誰か」「各旅行商品の特徴はどこにあるか」によって、旅行会社が提供するサービス内容や負うべき義務が変わってくることがわかります。
まとめ
旅行会社を設立するとき、まずは種別を決定し登録申請を行いますが、重要なのは「選択した旅行業種別ではどのようなサービスを提供しどのような義務を負うのか」をきちんと理解することです。旅行者との責任の割合も変わりますし、補償義務が生じることもあるので、もし設立についてご不安をお持ちの場合は当事務所までご相談ください。現状をしっかりヒアリングしたうえで疑問にお答えし、必要に応じ旅行会社設立~営業までの流れについて密度の濃いサポートをさせていただきます。
旅行業者としての登録が完了したら、14日以内に営業保証金の供託を行わなければなりません。このタイミングで旅行業協会に加入するケースが多くみられます。ここでは、対象となる旅行業協会のうち、全国旅行業協会(ANTA)への入会について説明していきます。
全国旅行業協会(ANTA)への入会の流れ
旅行業として登録が決定したら、14日以内に法務局または加入する旅行業協会に対し営業保証金の供託手続きを行う必要があります。法務局に供託する場合は営業保証金全額を用意しなければなりませんが、旅行業協会に入会することにより営業保証金は弁済業務保証金分担金として扱われ、供託すべき営業保証金が5分の1の金額で済みます。
また、旅行業協会に入会することで今後の営業における種々のサポートを受けることができ、旅行客にとっても大きな安心材料となるため、多くの旅行会社が旅行業協会に加入しているのが実情です。
全国旅行業協会(ANTA)への入会
まずは、全国旅行業協会(ANTA)への入会の流れを理解しておきましょう。
- 入会申請書提出
- 入会審査
- 全国旅行業協会による入会ヒアリング
- 旅行業登録通知の写しと旅行業者登録簿の写しを提出
- 入会金及び会費、弁済業務保証金分担金を全国旅行業協会に納付
- 弁済業務保証金分担金納付書を全国旅行業協会に送付
- 全国旅行業協会常務理事会による入会審議
- 全国旅行業協会入会承認通知
北海道旅行業協同組合について
一方、北海道には「北海道旅行業協同組合」という組織がありますが、これは全国旅行業協会会員のうち賛同した企業などにより運営されている団体ですので、道内旅行を取り扱いたい場合は入会を検討してみるのもいいでしょう。組合として活動することにより、北海道の魅力満載の旅行企画をサポートしてもらうことができますので、旅行会社としての活動範囲が広がることが想像されます。
全国旅行業協会(ANTA)への入会条件
全国旅行業協会に入会するためには、いくつかの条件をクリアしている必要があります。
入会条件
正会員
旅行業代理業者を除き、旅行業法に基づく旅行業者であること。
賛助会員
全国旅行業協会の目的に賛同する旅行業者であること。
入会方法
入会を希望する場合は、全国各支部に対して手続きを行います。入会に際しては一定の必要要件が設けられているので、それぞれクリアできているか確認してください。
- 旅行業法第6条(登録の拒否)の項目に該当しないこと
- 1名以上の総合あるいは国内旅行業務取扱管理者を常勤雇用していること(1営業所において10名以上の従業員がいる場合は2名以上)
- 基準資産の最低金額を満たしていること(第1種3,000万円以上、第2種700万円以上、第3種300万円以上、地域限定100万円以上)
入会に必要な費用
正会員か賛助会員かで必要な費用は変わってきます。なお、正会員になると、営業保証金が5分の1になる「弁済業務保証金分担金」の扱いを受けることができるなどの特典があります。
正会員
第1種:2,250,000円
第2種: 650,000円
第3種: 550,000円
地域限定旅行業:400,000円
なお、年会費は都道府県ごとに異なる場合があるため、北海道の場合は一般社団法人北海道旅行業協会まで問い合わせましょう。
賛助会員
年会費:50,000円
まとめ
旅行業界に参入したら、単独で運営を続けていくこともできますが、全国旅行業協会のような同業者の集まりに参加しておくことも選択肢のひとつだといえます。業界の動向を随時把握できたり旅行者にとっての安心材料になったりしますので、それだけでも参加の意義は大きいといえるでしょう。なにより、営業保証金が5分の1額になる弁済業務保証金分担金の特典はぜひ受けたいメリットです。
一方、通常営業を行いながら入会手続きを行うには手間と労力が必要ですので、ぜひ当事務所までご相談ください。申請に関する書類作成から申請業務はもちろん、申請から入会後までの切れ目のない営業を実現するスケジューリングについてもご相談を承ります。
旅行業を営むためには、第1種の場合は観光庁への登録が、第2種・第3種ほかの旅行業については管轄の都道府県への登録が不可欠です。万が一、登録をせずに旅行商品の提供を行った場合、無登録営業として処罰されることになります。ここでは、無登録営業とみなされるケースや行政による処罰について説明していきます。
無登録営業とみなされたケース
旅行商品を取り扱うためには旅行業登録が不可欠ですので、「登録し忘れ」ということは考えにくいパターンです。では、どのようなケースが無登録営業とみなされたか、その事例を挙げると以下のようなものが見当たります。
- 登山用品店が主催した宿泊を伴う登山ツアー
- お寺主催の檀家対象ツアー
- 被災地へのボランティアバス手配 など
これらはいずれも、悪意をもって実施した旅行サービスではなく、それが無登録営業に該当すると気付かずに行ってしまった例だといえます。しかし、悪意のない行為であったとしても、法的には違法または違法性があると見なされるため、処罰の対象となってしまうのです。
無登録営業に対する処罰
それでは、無登録営業を行ってしまった場合、どのような処罰を受けることになるのでしょうか。旅行業法第3条の「旅行業者は観光庁長官の行う登録を受けなければならない」という定めに従う必要がありますが、これに違反した場合は旅行業法第74条に該当してしまいます。
第七十四条
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条の規定に違反して旅行業を営んだ者
二 不正の手段により第三条の登録、第六条の三第一項の有効期間の更新の登録又は第六条の四第一項の変更登録を受けた者
三 第六条の四第一項の規定に違反して第四条第一項第三号の業務の範囲について変更をした者
四 第十四条の規定に違反してその名義を他人に利用させ、又は旅行業若しくは旅行業者代理業を他人に経営させた者
五 第十四条の三第一項の規定に違反して所属旅行業者以外の旅行業者のために旅行業務を取り扱つた者
六 第二十三条の規定に違反して旅行サービス手配業を営んだ者
七 不正の手段により第二十三条の登録を受けた者
八 第三十二条の規定に違反してその名義を他人に利用させ、又は旅行サービス手配業を他人に経営させた者
※旅行業法参照
つまり、無登録で営業を行った場合は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその併科となる可能性が出てくるのです。
無登録営業とならないために
処罰を受けないためには、旅行業登録なく旅行サービスを企画実行することを避けるか、旅行業法に基づき登録を行い旅行商品としてサービス提供するか選択しなければなりません。もし、旅行サービスの提供を行いたい場合は、以下の基準を満たし旅行業の登録を行うことが求められます。
旅行業務取扱管理者の選任
旅行商品を扱う旅行業者には旅行業務取扱管理者の選任が義務付けられています。すでにいる従業員に講習を受けさせて旅行業務取扱管理者とすることも可能ですので、必ず同資格保持者を確保するようにしましょう。
旅行業としての登録
旅行業法に定められた基準を満たしたら、観光庁または都道府県に対して旅行業の登録を行います。審査を経て旅行業者と認められれば、以後は登録種別に基づく旅行商品の取り扱いができるようになります。
旅行業協会への加入
旅行業協会に加入する場合は、旅行業登録申請前に協会への入会も忘れず行いましょう。
まとめ
当事者が意識しているかどうかにかかわらず、旅行業登録を行わずに宿泊サービスや移動サービスなどを提供すれば、それは無登録での営業ということになってしまいます。法律に抵触すれば処罰の対象になりますし、以後会社としての信用にもかかわってくるので、決して無関心ではいられない問題です。
これから行おうとしている旅行関係サービスが旅行業法に反しないか定かでない場合は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。背景事情やサービス内容をしっかりヒアリングしたうえで、旅行業登録を行うべきサービスかどうか助言することができます。また、継続的あるいは断続的に旅行関係サービスの提供を行いたい場合、旅行業登録も視野に入れてみるのもいいでしょう。
第3種旅行業は第2種旅行業に比べると取り扱うことができる旅行商品が限られていることから、旅行業の種別を変更したいと考えるケースがあります。ここでは、第3種旅行業から第2種旅行業に変更するための書類や手続きの流れについて説明していきます。
第2種旅行業に変更するための必要書類
法人として第3種旅行業から第2種旅行業に変更するための必要書類は以下の通りです。すべての書類を用意したら、北海道に対して申請を行います。
変更登録における必要書類
変更登録申請書
- 旅行業務にかかわる事業計画書
- 旅行業務にかかわる組織概要
- 法人税の確定申告書と直近決算期の添付書類
- 変更があった場合は旅行業務にかかわる組織概要
- 旅行業務取扱管理者選任一覧表
- 旅行業務取扱管理者の合格書の写し
- 旅行業務取扱管理者の履歴書
- 旅行業務取扱管理者の宣誓書
- 標準旅行業約款
- 供託書又は弁済業務保証金分担金の写し
新規に旅行業登録を行う場合に比べれば、定款作成を始めとするいくつかの書類の用意を省くことができますが、供託書あるいは弁済業務保証金分担金の写しを提出しなければなりません。
基準資産額に関しても変更があるので注意しましょう。第2種旅行業における基準資産額は700万円以上ですので、十分に費用を用意してから手続きに臨む必要があります。
第2種旅行業への変更手続きの流れ
北海道においては、必要書類を北海道庁に提出します。
- 提出先:北海道経済部観光局観光政策グループ
- 書類提出:持参に限る
- 申請手数料:北海道収入証紙(20,600円)
北海道における一般的な処理期間は約40日とされていますが、前後する可能性もあるためいつでも開業できる準備は整えておきましょう。
登録通知書の受け取りから営業開始へ
審査を経て変更登録が認められると、登録通知書が発行されるのでこれを受け取ります。登録通知書を受け取ったら、次の重要なステップとして、営業保証金の供託あるいは弁済業務保証金分担金の納付を行いましょう。納付したら営業保証金供託届出書あるいは弁済業務保証金分担金納付届出書が発行されるので、写しを北海道に提出します。
すべての書類提出が済んだら、以下を営業所内に掲示し第2種旅行業としての業務を開始することができます。
営業保証金などの納入について
旅行業協会の会員にならず、営業保証金を法務局に供託している第3種旅行業者の場合、開業時に旅行業協会へ加入することもひとつの選択肢になります。あらかじめ旅行業協会へ加入することにより、供託金の額を抑えることができるからです。
たとえば、第3種旅行業として営業保証金を法務局に供託する場合、営業保証金として300万円が必要になります。基準資産額は300万円ですから、合計600万円を用意しなければなりません。ここからさらに第2種旅行業へ変更する場合、基準資産額は700万円となり、法務局に供託する営業保証金も1,100万円にのぼるので、合計1,800万円もの金銭準備が求められます。
旅行業界への加入で費用負担の軽減を
金銭的に大きな負担がかかると肝心の「第2種旅行業としての開業」自体が遅れてしまう可能性もあるので、このような場合は旅行業協会への加入を積極的に検討するといいでしょう。第3種旅行業者として旅行業協会に加入すれば、営業保証金は弁済業務保証金分担金として扱われ営業保証金の5分の1を供託すればいいことになっています。
つまり、第3種旅行業の営業保証金として供託すればいいのは弁済業務保証金分担金60万円となるため、基準資産額と合わせると360万円で済みます。このまま第2種旅行業に変更した場合、営業保証金1,100万円の5分の1である220万円を納めればいいので、結果的には差額の140万円を追加供託すればいいことになります。
一方、すでに第3種旅行業を営んでおり旅行業協会に未加入だった場合、変更登録に先んじて旅行業協会に加入することも選択肢の一つになります。この場合、法務局に供託していた営業保証金の払戻しを受けたうえで、旅行業協会における弁済業務保証金分担金220万円を納める流れになるので、やはり差額だけを納入すればいいことになります。
まとめ
第3種旅行業から第2種旅行業への変更について、必要書類や手続きの大まかな流れ、そして供託金の扱いについて説明してきました。特に重要になってくるのは供託金ですので、旅行業会への参入に際し旅行業協会に加入することで金銭的負担を軽くすることも検討してみましょう。
当事務所では、旅行業種別変更に対し、ご相談者様にとってベストだと思われる方向性をアドバイスさせていただきます。ご相談者様の現状はどうか、多角度的にみて負担を少なく変更できる方法は何かなど、札幌市でトップクラスのご依頼件数を誇る当事務所の行政書士が親身に対応いたします。
旅行会社設立にあたり、すでに社名候補を挙げている方もいれば何も決めておらずやや不安になっている方もいます。ここでは、旅行会社の社名の付け方に関するルールと注意ポイントについて説明していきます。
社名をつけるときの必須ルールとは
会社名は、正式には商号といい、会社法や商業登記法に基づいてルールに則った名称をつけることになっています。ルールを守っていれば比較的自由に社名をつけて構いませんので、会社や事業に込める思いをうまく社名に表してみましょう。
以下は、社名をつけるときに守らなければならない必須ルールです。
会社の形態を社名に入れる
株式会社や合同会社といった形態を社名に入れなければなりません。したがって、株式会社として設立する場合は社名の前後いずれかに「株式会社」を入れます。同様に、合同会社として設立する場合は社名の前後いずれかに「合同会社」を入れることになります。
近隣他社の社名とかぶらないようにする
有名企業とかぶらないようにすることはもちろん、近隣他社の社名にも注意しましょう。他社と酷似した社名は後から問題になる可能性が否定できませんし、マーケティングの側面からいってもあまり好ましくありません。見込み客が勘違いして他社に流れてしまうこともあります。
制限文字の使用に注意する
会社名に使うことができる文字・記号は以下の通りです。これ以外は認められませんので注意しましょう。
漢字
- ひらがな
- カタカナ
- アラビア数字
- ローマ字(大文字・小文字)
以下の文字は、社名を区切る目的に限り使用可能です。
- アンパサンド(&)
- アポストロフィー( ’ )
- コンマ(,)
- ハイフン(-)
- 中点(・)
- ピリオド(.)
社名をつけるときに明確にしておくべきポイント
前述の必須ルールを守ったうえで社名をつけることになりますが、社名といっても「名前」ですから、読みやすさや意味をきちんと意識してつけることが大切です。
社名の意味を明確にする
赤ちゃんが生まれて命名するときと同様に、社名をつけるときも「なぜこの名前をつけたのか」を明確にしましょう。社名は会社にとって顔であるのと同様、ポリシーであり会社の人格、ストーリーでもありますから、多くの人は命名の背景に関心を抱くものです。社名でも人を納得させることができるよう、よく考えて命名しましょう。
業務内容を想像しやすい社名にする
インターネット関連業務を行うなら社名に「ウェブ」と入れたり、旅行商品を扱うなら「トラベル」と入れたりするなど、社名には業務内容を想像しやすい語句を入れるようにしてみましょう。お客様に覚えてもらいやすく業務内容もイメージしやすい名称が好ましいといえます。
ドメイン取得を視野に入れてみる
会社を立ち上げるのと同時進行したいのが、会社のホームページです。企業ブランディングやマーケティングなどを目的としてホームページを持つと考えれば、ドメインも社名そのままの語句が使えることが望ましいといえます。つけたい名前の候補がいくつか出てきたら、ドメインサイトで検索して社名ドメイン(○○.comなど)を取得できるかどうか確認してみましょう。
まとめ
社名は後から変更することもできますが、仮名称で営業をスタートすることはあまりお勧めできません。新たな気持ちで新たなビジネスを始めるうえで、会社の「顔」である名前が決まっていなければ士気に関わりますし、後日の名称変更作業でも大きな手間がかかることになってしまいます。お客様を混乱させてしまうことも考えられるでしょう。
このことを踏まえれば、会社設立の前に会社名はきちんと決めておくことが求められます。急いで開業したい場合でも、正式な会社名さえ決まっていれば、必要な手続きなどは行政書士に任せることができるからです。
もし、旅行会社の社名の付け方で悩んでおられる場合は、まず当事務所行政書士までお気軽にご連絡ください。社名が今後の業務に及ぼす影響などを助言しながら、旅行会社設立に関する諸手続きについて説明させていただきますので、明確なイメージを描くことができるでしょう。
すべての旅行商品を取り扱うことができる第1種旅行業ですが、その基準資産額や営業保証金は莫大な金額になり事業規模も大きくなります。しかし、何らかの理由で取り扱い範囲を縮小しようと検討するケースも出てくるでしょう。ここでは、第1種旅行業から第2種または第3種旅行業に変更する際の手続きなどについて説明していきます。
旅行業変更手続きの流れ
第1種旅行業から第2種あるいは第3種旅行業に変更したい場合、北海道に対して変更手続きを行うことになります。ここでは、手続きの大まかな流れを説明していきます。
旅行業登録の審査期間
旅行業登録変更の申請を行ってから、一般的には40日前後で受理となることが多いようです。ある程度時間の余裕を持って変更手続きを行い、いつ受理されても新体制で営業できるよう、準備を整えておくことが大切です。
弁済業務保証金分担金の払戻し
営業保証金または弁済業務保証金分担金の額は、第1種旅行業が最も大きくなっています。このため、第2種あるいは第3種旅行業に変更すると、納めていた金銭の差額分の払戻しを受けることになるのです。
払戻しの流れは基本的に以下の通りとなります。
- 北海道に対する旅行業登録種別変更手続きを完了する
- 日本旅行業協会に対し弁済業務保証金分担金の払戻し手続きを実行する
- およそ6カ月前後で差額分が払戻しされる
払戻し手続きを行ってすぐに金銭を手にできるわけではありませんので、スケジュールは余裕をもって組むようにしましょう。
旅行業種別変更手続きの必要書類
旅行業種別の変更手続きを行う場合は、提出用の正本と会社用の控えとして合計2部ずつ用意します。また、記入漏れがあったり書類不備があったりする場合は申請受理されませんので注意してください。特に、旅行業登録有効期限内に変更登録が完了するよう、時間には十分な余裕を持って変更申請を行う必要があります。
北海道における変更登録申請書類一覧
北海道のホームページによれば、旅行業の変更登録に際し必要となる書類として以下を挙げています。
【申請書類一覧】
- 登録申請書
- 事業計画書
- 組織の概要
- 直近の貸借対照表および損益計算書
- 直近の監査証明または確定申告書の写し
- 取扱管理者選任一覧表
- 管理者の合格証または認定証の写し
- 管理者の履歴書
- 管理者の宣誓書
- 管理者の定期研修修了証の写し
- 旅行業務約款
- 営業保証金供託書または弁済業務保証金分担金納付書の写し
※北海道・経済部観光局観光振興課観光企画ホームページ参照
なお、旅行業法施行規則によれば、以下の通り定められていることがわかります。
- 変更登録の申請をしようとする旅行業者は、当該行政庁に変更登録申請書を提出しなければならない。
- 一 第一種旅行業への変更登録の申請をしようとする旅行業者:観光庁長官
- 二 第二種旅行業、第三種旅行業又は地域限定旅行業への変更登録の申請をしようとする旅行業者:主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事
- 変更登録の申請をしようとする旅行業者は、次に掲げる書類を変更登録申請書に添付しなければならない。
- 一 申請者が法人である場合にあつては、法第六条第一項第九号及び第十号のいずれにも該当しないことを証する書類並びに第一条の四第一項第一号ハ及びニに掲げる書類
- 二 申請者が個人である場合にあつては、法第六条第一項第九号及び第十号のいずれにも該当しないことを証する書類並びに第一条の四第一項第一号ハ及び第二号ハに掲げる書類
- 第一項の場合において、申請書の提出を受けた行政庁と登録行政庁(旅行業者が現に登録を受けている行政庁をいう。以下この条、第九条の二及び第二十二条において同じ。)が異なるときは、申請書の提出を受けた行政庁は、その旨を登録行政庁に通知しなければならない。
- 登録行政庁は、前項の規定による通知を受けたときは、旅行業者登録簿の当該旅行業者に係る部分の写しを当該通知を行つた行政庁に送付しなければならない。
- 前項の規定による送付を受けた行政庁は、変更登録を行つたときは、その旨を登録行政庁及び当該旅行業者に通知しなければならない。
※旅行業法 参照
まとめ
第1種旅行業から第2種または第3種旅行業に変更しようとする場合、法に基づく手続きが必要になります。北海道における変更登録申請については、旅行会社設立および関連業務の経験豊かな当事務所までご相談ください。初回のヒアリングでは丁寧に現状をうかがい理解と把握に努め、適切な助言を行いますので、まずはお気軽にご連絡いただければ幸いです。
第3種旅行業は第1種・第2種とは異なり、募集型企画旅行の取扱いができない旅行業です(ただし隣接市町村などは可)。ここでは、第3種旅行業の登録申請要件と申請に必要な書類について説明していきます。
第3種旅行業の業務範囲
平成19年の旅行業法改正により第3種旅行業の業務範囲が変更されました。それまで許可されていなかった国内向け募集型旅行商品の取扱いが可能になったのです。ただし許可されているのは、営業所所在地の隣接市町村などに限ります。
【第3種旅行業】
国内向け受注型企画旅行契約
海外および国内向け手配旅行契約
海外および国内向け他社募集型企画旅行代売
第3種旅行業の登録申請要件と申請書類
第3種旅行業の登録申請を行うためには、以下の条件を満たしている必要があります。
第3種旅行業の登録申請要件
営業保証金
第3種旅行業の営業保証金は300万円と定められています。ただし、旅行協会に加入することで営業保証金は5分の1まで圧縮することができるため、協会に加入し弁済業務保証金分担金として60万円を納付する手段もあります。
基準資産
第3種旅行業の場合、基準資産額は300万円以上とされています。具体的な額は、以下の計算式を用いて求めます。
【基準資産額の計算式】
資産合計-負債合計-【営業保証金の額または弁済業務保証金の額】-資産の部における▲=基準資産額
【貸借対照表】
資産の部 |
A
うち、
▲不良債権
▲繰延資産(創業費等)
▲営業権 |
B |
負債の部 |
C
うち、資本金〇〇万円含む |
純資産の部 |
「資産総額-繰延資産-営業権-負債総額-営業保証金または弁済業務保証金分担金」で算出されます。
旅行業務取扱責任者の選任
海外旅行を扱う「総合旅行業務取扱管理者」と国内旅行を扱う「国内旅行業務取扱管理者」のうち適切な人員を選任します。1つの営業所に対して1名以上の旅行業務取扱管理者を、10名以上のスタッフがいる営業所については2名以上の旅行業務取扱管理者を置かなければなりません。
定款
定款には明確に「旅行業」あるいは「旅行業法に基づく旅行業」と記載する必要があります。
旅行業登録申請書類について
第3種旅行業の登録申請書類は以下の通りです。不備なく揃えるよう気を付けましょう。登録申請先は都道府県知事であり、申請内容が認められるまではおよそ30日から40日かかるとされています。
- 新規登録申請書
- 定款または寄付行為
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 役員の宣誓書
- 事業計画書
- 旅行業務にかかわる組織の概要
- 直近の決算書類
- 旅行業務取扱管理責任者一覧表
- 営業所の使用権を明らかにする書類(登記簿謄本もしくは賃貸借契約書の写し)
- 事故処理体制の説明書
- 標準旅行業約款
旅行業開始までの流れ
- 北海道知事への申請
- 申請書類作成・準備
- 申請前の相談
- 北海道知事宛てに申請書類を提出
- 北海道の担当窓口で受け付けて審査開始
- 北海道の担当窓口から登録の通知
- 旅行業新規登録手数料納付
- 営業保証金を供託するか、旅行業協会に加入する場合は弁済業務保証金分担金を納付
- 供託書または弁済業務保証金分担金納付書の写しを提出
- 店舗内に登録票・約款・料金表を掲示し営業開始
まとめ
日本旅行業協会(JATA)が公開する資料によれば、日本における旅行業として最も割合が大きいのが第3種旅行業です。たとえば、2015年時点での第2種登録数は2,776件である一方第3種登録数は5,524件とおよそ2倍となっています。2020年時点では件数こそ横ばいですが、第2種で3,043件、第3種では5,692件であることがわかります。2020年の旅行業者の総計が11,948件ですから、約半数近くが第3種旅行業を営んでいるのです。
このことを踏まえても、日本人・外国人に関わらず今後も第3種旅行業への参入は減ることがないと想定されるでしょう。当然ながら会社設立から旅行業登録申請の必要性も高まるため、積極的に専門家のサポートを受けながらスムーズな営業開始を実現したいものです。当事務所では、元旅行業者だった外国人スタッフもおり、また経験豊富な行政書士が対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
海外・国内いずれの募集型旅行を取り扱うことができる第1種旅行業とは異なり、国内旅行だけを扱うのが第2種旅行業です。ここでは、第2種旅行業の全体的な業務内容と登録申請要件について説明していきます。
第2種旅行業の全体的な業務内容
第1種旅行業では海外・国内問わずすべての旅行商品を取り扱うことができる一方、海外の募集型企画旅行を除く他の旅行商品に限り扱うことができるのが第2種旅行業です。旅行業を始めるときには営業保証金や基準資産額といった財産要件を満たす必要がありますが、第2種旅行業は第1種旅行業よりもカバーできる範囲が狭いことから、ハードルは若干低めであるといってもいいでしょう。
第2種旅行業で取り扱うことができる業務
海外の募集型企画旅行を除けば以下の業務を取り扱うことができます。
- 募集型企画旅行:国内のみ
- 受注型企画旅行:海外・国内とも取り扱い可
- 手配旅行:海外・国内とも取り扱い可
- 代理販売:海外・国内とも取り扱い可
海外旅行を扱う場合は総合旅行業務取扱管理者を選任する必要がありますが、国内旅行のみの場合は国内旅行業務取扱管理者を置けば問題ありません。
募集型企画旅行とは
旅行会社が旅行先や宿泊先、移動手段や見学先などすべての要素を決定した旅行商品について、旅行者を募集するいわゆるパックツアーを意味します。
受注型企画旅行とは
旅行者からの依頼により旅行会社が旅行内容や旅程を作成し、旅行者に提供するものを指します。
手配旅行とは
旅行者からの依頼により旅行会社が手配する旅行形態です。個人旅行のように、航空券だけ・ホテルだけなど旅行の一部分のみ手配を依頼することもあります。
代理販売とは
他社が取り扱う旅行商品を代理販売し、手数料を受け取る形態を指します。
第2種旅行業の登録申請要件
第1種旅行業と同様に、第2種旅行業においても登録申請要件が定められています。
財産的な条件
「基準資産額」が700万円以上あることが求められます。基準資産額の計算式は以下の通りですので、自分の場合に当てはめて計算してみましょう。
【基準資産額の計算式】
資産合計-負債合計-【営業保証金の額または弁済業務保証金の額】-資産の部における▲=基準資産額
【貸借対照表】
資産の部 |
A
うち、
▲不良債権
▲繰延資産(創業費等)
▲営業権 |
B |
負債の部 |
C
うち、資本金〇〇万円含む |
純資産の部 |
旅行業協会に加入している場合、営業保証金は弁済業務保証金分担金として5分の1まで圧縮することができます。第2種旅行業の営業保証金は1,100万円と決まっていますので、旅行会社を始めるために必要な初期費用は最低でも「弁済業務保証金分担金(協会加入の場合5分の1)+基準資産額+旅行協会登録費用など」となり、以下のように計算することができます。
→旅行協会加入済みの場合は5分の1の220万円
- 基準資産額:700万円
- 旅行協会登録費用など:若干額
【220万円+700万円+旅行協会登録費用など=920万円+若干額】が必要額となります。
旅行業務取扱管理者の選任
第2種旅行業登録の申請要件として旅行業務取扱管理者の選任が求められます。以下の条件を満たすよう必要な人員を確保しましょう。
- 1つの営業所につき1人以上の旅行業務取扱管理者の選任
- 10名以上の従業員がいる営業所には2人以上の旅行業務取扱管理者の選任
事業目的の設定
事業目的
定款に記載する事業目的として「旅行業」あるいは「旅行業法に基づく旅行業」と記載します。
まとめ
第2種旅行業登録にかかわる要件は他の種類の旅行業とは異なります。第2種旅行業として登録を行いたい場合、要件をきちんと満たしているか判断しかねたり手続き自体に戸惑いを覚えたりすることもあるかもしれません。また昨今では外国人による旅行会社設立ニーズも高まっていますが、どのようにビザの変更を行い、会社設立を実現するか、お悩みの人もおられるでしょう。
当事務所では、旅行業登録申請のサポートに留まらず外国人による会社設立サポートも行っており、元旅行業者であった外国人スタッフや経験豊富な行政書士が対応しています。日本人か外国人かを問わず、日本で旅行業を営みたいとお考えの際は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
旅行会社を設立するためには、まず会社を立ち上げ、そのうえで旅行業の登録を行う必要があります。ここでは、会社設立の大まかな流れと旅行業の種類などについて説明していきます。
会社設立の大まかな流れ
会社を設立するためには、大きく「株式会社か合同会社かの選択」「定款の作成」「資本金の払込み」「法務局への登記」といった流れを辿ります。
株式会社か合同会社かの選択
会社の設立にあたり、まず決定しなければいけないのが「株式会社と合同会社のどちらにするか」ということです。
将来に向けて会社を大きくしていきたい、社会的な信用力が欲しいといった場合は株式会社を選択するといいでしょう。一方、小規模事業経営を想定していたり設立費用を少しでも安く抑えたりしたい場合は、合同会社という選択肢があります。
定款の作成
会社の形態を決めたら、次に取り掛かるのは定款の作成です。旅行業者として事業を営むことが前提になりますから、会社設立の専門家の手を借りながら正しい定款作成を行いましょう。また、定款作成にあたり、あらかじめ以下の項目について決定しておく必要もあります。
- 旅行会社としての会社名
- 事業目的
- 本店の所在地
- 資本金
- 事業年度
- 出資者
- 役員構成
定款を作成したら、株式会社の場合は公証役場で認証を受けます。合同会社は定款認証が必要ありません。
資本金の払込み
定款の作成(株式会社の場合は公証役場における認証)が済んだら、資本金の払込みを行います。会社設立前であることから会社としての口座はまだ存在しませんので、一般的には代表取締役予定者の口座に資本金を払い込みます。
法務局への登記
以下の書類などを揃えて管轄の法務局に出向き、会社設立登記の申請を行います。
- 定款(株式会社の場合は認証済みのもの)
- 資本金払込証明書
- 役員就任承諾書類
旅行業許認可の種類
無事に会社を設立できたら、次は旅行業の許認可申請を行う必要があります。旅行業の許認可は、取り扱う旅行業務により種類が異なりますので、あらかじめよく確認しておきましょう。
旅行業の種別
旅行業として会社を運営していく場合、6種類ある旅行業の種別のなかからいずれかの登録を行う必要があります。
- 第1種旅行業登録
- 第2種旅行業登録
- 第3種旅行業登録
- 地域限定旅行業登録
- 旅行サービス手配業登録
- 旅行業者代理業登録
これから取り扱おうとする旅行商品の分野により、6種類のうちどれに当てはまるかが決まります。それぞれの種別について整理してみましょう。
第1種旅行業
- 海外および国内向け募集型旅行商品
- 受注型企画旅行
- 手配旅行
第2種旅行業
- 国内向け募集型旅行商品
- 海外および国内向け受注型企画旅行
- 手配旅行
第3種旅行業
- 国内向け募集型旅行商品(隣接市町村など)
- 受注型企画旅行
- 手配旅行
地域限定旅行業
- 国内向け募集型旅行商品(隣接市町村など)
- 受注型企画旅行(隣接市町村など)
- 手配旅行(隣接市町村など)
旅行サービス手配業
- 鉄道・バスなど、またはホテル・旅館などの手配
- 全国通訳案内士または地域通訳案内士以外の者による、有償通訳の手配
- 免税店における物品販売の手配
旅行代理業
- 旅行業者から委託された業務(観光圏内限定・対宿泊者限定)
※官公庁「旅行業法における登録制度の概要」参照
旅行業務取扱管理者の選任
旅行業者として事業を営むためには、旅行業務取扱管理者を選任しなくてはなりません。旅行業務取扱管理者は、会社と客の間で成立する旅行取引の責任者です。ひとつの営業所に対してひとりの旅行業務取扱管理者を置くことが求められています。
まとめ
旅行会社を設立するためには、まず会社設立に始まり次に旅行業の登録を行う必要があります。当然ながら行うべき手続きは多くなり、多種多様な書類を揃えなければなりません。何より重要なのは、旅行会社としての種別と事業者が描く旅行会社としてのイメージが合致するかという点です。
当事務所ではヒアリングに重点を置いていますので、まずはしっかりとお話をうかがい、適切な旅行業種別を提案します。そのうえで、ご依頼者さまの負担を軽減すべく各種手続きのサポートを行っていきますので、まずはお気軽にご相談ください。
会社設立と並行して旅行業登録を行い、営業開始への準備を始めようとする場合、必要経費としていくらくらいの金額を見積もればいいのでしょうか。ここでは、旅行会社設立における費用内訳について説明していきます。
旅行業協会への加入状況別・会社設立費用の目安
旅行業協会に入会しない場合と入会した場合それぞれを想定して、会社設立費用の目安を考えてみましょう。ここでは第3種旅行業を前提として試算してみます。
旅行業協会に加入しない場合
- 会社設立に伴う定款認証費用:52,000円
- 登録免許税:150,000円
- 旅行業登録申請手数料:90,000円
- 営業保証金:3,000,000円
以上を合計するとおよそ330万円弱となります。この他に資本金も必要になるので、さらに金額は大きくなると想定してください。
旅行業協会に入会する場合
- 会社設立に伴う定款認証費用:52,000円
- 登録免許税:150,000円
- 旅行業登録申請手数料:90,000円
- 弁済業務保証金分担金:600,000円
以上を合計すると89万円ほどとなりますが、会社の資本金も用意しなければなりませんので忘れず計上しましょう。
全国旅行業協会への入会費用
なお、仮に全国旅行業協会(ANTA)に入会する場合、協会への入会費用も必要になります。第3種旅行業の場合を前提として試算してみましょう。
入会費:550,000円
年会費 81,000円
以上を合計すると約67万円になります。
※旅行業協会に入会すれば、入会費や年会費などの別途出費が生じますが、営業保証金が弁済業務保証金分担金の扱いになり5分の1額まで圧縮されます。費用面での負担をかなり軽減することが可能であるため、旅行業協会への入会も積極的に検討してみるといいでしょう。
その他の必要経費とトータル費用
上に挙げた費目以外にも、以下のような諸費用がかかります。
営業所の家賃など
営業所を借りる場合、月20万円の家賃だとすると初期費用は約70万円かかることが想定されます。また、営業所に設置する椅子やデスクなどの事務機器用品にも20万円程度はかかることでしょう。
人件費
まずはひとりで会社を立ち上げ運営していくことを前提としてみます。
インターネット回線代
業務上、電話回線とインターネット回線の設置は避けて通れません。
- インターネット回線工事:1万円
- ひかり電話工事:5,000円
ホームページ制作費用
専門業者に対してホームページの維持管理を依頼せず制作のみ依頼した場合、最低でも30万円は見積もっておいた方がいいでしょう。
上記は、会社として運営できる必要最低限の費用になりますので、実際にはさらに諸経費が発生することが想定されます。マーケティングを外部委託するのか、旅行業務システムを導入するのかなど、条件によってはさらに多額の費用がかかるでしょう。ただし、ここでは、以下の条件を前提とした旅行会社設立費用について概算してみます。
- 定款作成して株式会社設立
- ひとり社長として営業開始
- 役員報酬は月20万円
- 営業所家賃は20万円
- 第3種旅行業として登録申請する
- 旅行業務システムは導入しない
- 旅行業協会に入会しない
トータル費用の概算(旅行協会非加入の場合)
- 定款作成(株式会社設立):20万円
- 営業保証金:300万円
- 旅行業登録手数料:9万円
- 営業所賃貸初期費用:70万円
- 事務機器用品費:20万円
- 回線工事:5万円
- ホームページ制作:30万円
- 人件費(1名):20万円
合計:約470万円+資本金
トータル費用の概算(旅行協会加入の場合)
- 定款作成(株式会社設立):20万円
- 旅行業登録手数料:9万円
- 営業所賃貸初期費用:70万円
- 事務機器用品費:20万円
- 回線工事:5万円
- ホームページ制作:30万円
- 人件費(1名):20万円
- 全国旅行業協会(ANTA)入会諸費用1万円
- 弁済業務保証金分担金:60万円
合計:約293.6万円+資本金
旅行会社を設立し実際に営業開始するまでの費用として、旅行業協会に入会しない場合でおよそ470万円+会社資本金、旅行業協会に入会する場合でおよそ293万円+会社資本金が必要になることがわかります。
まとめ
少しでもキャッシュフローに余裕を持たせたい場合、旅行業協会に入会することを検討してもいいかもしれません。その場合でも100万円単位の金銭が必要になりますし、半年程度の運転資金を試算しいつでも使えるように備えておく必要があるでしょう。
これから旅行会社を設立するとき、もっとも大きなハードルとなるのが金銭面です。国による融資制度などを上手に利用してスムーズな営業開始を目指したいところです。当事務所では会社設立関連業務のご依頼を数多く受けており、その件数は札幌市内でトップクラスであると自負しています。十分な経験と知識を備えており適切に助言することができますので、まずはお気軽にご相談ください。
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