株式会社設立にあたっての基本事項の決定

株式会社設立にあたっての基本事項の決定

 

1、発起人の決定

発起人とは、会社をつくろうとする人のことで、基本事項の決定・定款の作成など、会社設立の手続きを行います。株式会社の設立手続きには、必ず発起人が必要になります。

 

① 発起人について

・発起人の数は1名以上

・「法人」も発起人になることができる

・制限行為能力者(未成年等)でも発起人になれる

※ただし、法定代理人の同意が必要(15歳未満は印鑑登録できないので不可)

・発起人は会社設立時に発行する株式を必ず1株以上は引き受けなれればならない

 

② 発起人の責任

会社不成立の場合は、発起人の連帯責任になり、設立に要した費用は発起人が負担することになります。(取締役選任後は、取締役も責任を負います。)

 

 

2、商号の決定

発起人を決めたら「商号」を決めます。商号とは会社の名前のことです。会社の商号は原則として自由に決めることができますが、次のような制限等があります。

 

・同一住所での同一商号使用禁止

実際には、ほとんどないケースですが同一住所での同一商号の使用はできません。

 

・会社の名称等に関する規制

商号には、必ず「株式会社」という文字を用いなければなりません。また、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いることができません。

 

・他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止

何人も、不正の目的をもって、他の商人や他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはなりません。

 

・使用できる文字の制限

漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字と一定の符号が使用でき、「」、()、☆、などの記号は使用できません。

 

・社会的によく認知されている企業の商号の使用禁止

三井、三菱、ソニーなどの社会的に有名な企業の商号を用いることはできません。どの企業が有名かの基準は明確ではありませんが、避けた方がよいでしょう。

 

・銀行や信託、証券などの文字の使用禁止

銀行業や証券業などを営む会社以外はこれらの文字を使用できません。

 

・会社の一部門を表す文字の使用禁止

「~支店」など会社の一部門を表す文字を商号に使用することはできません。

 

 

3、商号の調査

登記上は同一住所でなければ同一市区町村内に同じ商号の会社を設立することは可能です。しかし、だからといって既存の会社と同じ商号を使用すると、不正競争防止法等により商号の使用差し止め請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。後のトラブルを防ぐためにも商号の調査をしておくべきでしょう。

 

 

4、事業目的の決定

会社が営む仕事の内容のことを事業目的といいます。株式会社は定款で決めた事業目的の範囲内でしか営業活動を行なうことができません。事業目的は1度決めてしまうと、変更するには、定款の変更、登記の内容の変更などの手続きが必要になりますので、将来行なう可能性がある事業を含め慎重に決める必要があります。事業目的を決定する際に必要とされる要件は次の通りです。※目的とする事業によって許認可が必要になる場合もあります。

 

①明確性・具体性の要件

この要件は緩和されてきていますが、明確な基準はありませんので、一定の具体性、明確性をもった事業目的に決定するほうが無難です。

 

②適法性の要件

「麻薬の販売」などを法律に違反するような事業目的を定めることはできません。

 

③営利性の要件

会社は営利を目的としていますので、「社会福祉への出費」、「ボランティア活動」など営利性のない事業目的を定めることはできません。

 

 

5、本店所在地の決定

会社は本店所在地を決めなければなりません。「本店所在地」とは、会社の住所のことです。 会社の本店が移転した場合、登記の変更手続きが必要になりますので、あまり移動しない場所を本店所在地にするべきでしょう。

 

 

6、事業年度の決定

会社は少なくとも1年に1回、決算書(貸借対照表、損益計算書など)を作成し、会社の営業成績や会社の財産の状況などを明らかにして公告します。この1年ごとの会計の区切りを事業年度(決算期)といいます。事業年度は自由に決めることができますが、いくつか注意すべき点があります。

 

・決算の回数

決算は年1回でなくてもよいですが、決算の手続きは煩雑であるため、特別な理由がなければ年1回とするべきでしょう。

 

・株式会社の設立日と決算期

例えば事業年度を4月1日から3月31日と設定した場合、3月1日を株式会社設立日としてしまうと、3月31日まで1ヶ月しかありませんが、それでも決算の手続きを行わなければりません。逆にいえば、会社を設立する月の直前を決算期とすると初年度の決算を遅くすることができます。

 

・2月決算について

2月決算にする場合、うるう年があるため、定款には「毎年3月1日から翌年2月末日まで」と記載します。

 

・業務の繁忙期や会計事務所の繁忙期の決算

業務の繁忙期に決算を迎えると、申告漏れなどを招く可能性もありますので、業務の繁忙期を避けて決算を迎えられるよう、事業年度を定めるべきでしょう。

 

 

7、株式譲渡制限 (公開会社と非公開会社)

株式は原則として自由に譲渡することができます。しかし、家族単位や友人単位の小規模な会社の場合、知らない人に株式が自由に譲渡され、知らない人が株主になることが好ましくない場合もあります。また、場合によっては、会社の経営権が奪われる事態も考えられます。

 

このような事態を避けるため、株式を譲渡する際に取締役会あるいは株主総会の承認を受ける必要がある旨の規定を定款に定めることにより、 株式の譲渡を制限することが可能です。発行しているすべての株式について、株式譲渡制限が付されている会社を「非公開会社(株式譲渡制限会社)」と呼び、それ以外の会社(1株以上公開)を「公開会社(株式の全部又は一部が譲渡自由な会社)」といいます。

 

多くの中小企業は、株式譲渡制限を採用しています。

非公開会社とは、次の要件を満たした会社のことをいいます。

すべての株式の譲渡について譲渡制限を設けていること

②株式の譲渡に取締役会などの承認を必要とする旨を定款で定めていること

 

◆非公開会社のメリット

・株式譲渡制限会社を選択すると、取締役会、監査役を設置しない取締役1人のシンプルな運営が可能です。

・取締役の任期は原則として2年、監査役の任期は原則として4年ですが、株式譲渡制限会社は、定款でそれぞれ10年まで延長することができます。

・定款で定めることにより、相続や合併等で自社の株式を取得した者に対してその株式を売り渡すように請求できるようになります。このことにより会社にとって好ましくない者に株式が分散することを防ぐことができます。

 

 

8、株式会社の機関設計

会社を運営する組織の構成などを決めることを機関設計といいます。株式会社に設置される機関には次のようなものがあります。

 

・株主総会

株式会社の会社の所有者たる株主で構成される最高意思決定機関であり、株式会社の組織・運営・管理などに関する重要事項を決定する機関です。株主総会には、決算期ごとに開催される年1度の定時総会と、必要に応じてその都度開催される臨時総会があります。 なお、株主総会はすべての株式会社で必ず設置しなければなりません。

 

・取締役

株式会社の業務執行を行う機関です。 すべての株式会社で最低1人は必要になります。

 

・取締役会

取締役会は取締役全員によって構成され、この会議における決議によって会社の重要な業務について意思決定を行います。 非公開会社では任意設置ですが、公開会社では必ず設置しなければなりません。※取締役会を設置するには取締役3人以上が必要です。

 

・監 査 役

会社経営の業務監査および会計監査を行い、違法または著しく不当な職務執行行為がないかどうかを調べ、それがあれば阻止・是正するための機関です。非公開会社では任意設置ですが、取締役会を設置する会社では原則設置しなければなりません。

 

・監査役会

3人以上の監査役によって構成される、適切な監査意見を形成するための調整機関のことです。監査役のうち半数以上は社外監査役でなければならず、 監査役の中から常勤監査役を選定しなければなりません。非公開会社、委員会設置会社を除く大会社では必ず設置しなければなりません。また、取締役会を設置しない場合には設置できません。なお、監査役会を置いた株式会社を「監査役会設置会社」といいます。

※社外監査役とは株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社やその子会社の従業員や業務を執行する役員でなかった者をいいます。

 

・委 員 会

主に大企業において機動的な経営と実効的な監督を可能にするために設けられた機関であり、指名委員会・監査委員会・報酬委員会で構成されます。 監査役を設置する場合及び会計監査人を設置しない場合には、委員会は設置できません。なお、委員会を設置した株式会社を「委員会設置会社」といいます。

 

・会計監査人

主に大企業において会社の計算書類などを会計監査する機関です。公認会計士または監査法人のみが就任することができます。定款に定めることにより任意に設置することができますが、委員会設置会社以外の株式会社で会計監査人を設ける場合は、監査役も必ず設けなければなりません。また、大会社、委員会設置会社である場合は必ず設置しなければなりません。

 

・会計参与

取締役等と共同して計算書類等を作成する機関です。すべての株式会社で任意的に設置が認められますが、例外として、取締役会を設置しながら監査役を設置しない株式会社(委員会設置会社以外の非公開中小会社にのみこの形態が認められます)の場合は、会計参与の設置が義務付けられています。

 

◆機関設計の基本ルール

・すべての株式会社には、株主総会のほかに取締役を設置しなければなりません。(取締役は1人以上)

・公開会社では取締役会(取締役は3人以上)を設置しなければなりません。非公開会社では任意設置です。

・取締役会を設置しない場合、各取締役が業務執行権と代表権を有します。

・複数の取締役を設置する場合、業務執行の意思決定は原則取締役の過半数で決しますが 定款又は株主総会の決議で代表取締役を選定することも、取締役の互選で代表取締役を選定することもできます。

・取締役会を設置する場合は、監査役(監査役会を含む)又は委員会を設置しなければなりません。 ただし、「中小会社+非公開会社」では、会計参与を置けば監査役は任意です。

・取締役会がなければ、監査役会または委員会は置けません。

・監査役、監査役会と委員会は同時には置けません。

・大会社は会計監査人を置かなければなりません。

・会計監査人を置く場合、監査役・監査役会または委員会を設置しなければなりません。

・会計参与は任意設置です。

 

 

◆機関設計のパターン

機関設計は、上記の機関を会社の状況にあわせて組み合わせて設計しますが、会社の機関設計をするにあたって重要なのは、会社の規模(大会社であるか非大会社であるか)、株式の公開・非公開(公開会社であるか非公開会社であるか)です。

 

※大会社

最終事業年度に係る賃借対照表に資本金として計上した額が5億円以上(資本金基準)又は、最終事業年度に係る賃借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200百億円以上(負債基準)である株式会社のことをいいます。大会社以外の会社を非大会社(中小会社) といいます。

 

機関設計のパターンとしては39種類考えられますが、一般的に最も多いと思われる「中小会社+非公開会社」を前提にすると、主に以下のようなパターンが考えられます。

①株主総会+取締役
②株主総会+取締役+監査役
③株主総会+取締役+監査役+会計監査人
④株主総会+取締役+取締役会+会計参与
⑤株主総会+取締役+取締役会+監査役
⑥株主総会+取締役+取締役会+監査役会
⑦株主総会+取締役+取締役会+監査役+会計監査人
⑧株主総会+取締役+取締役会+監査役会+会計監査人
⑨株主総会+取締役+委員会+会計監査人

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